MONOGATARI 001
引き算の匠
型破りの挑発
「引き算こそが美学」と語る世界最高峰の鮨職人、中澤圭二さんがニューヨーク5番街に新店を開いた。江戸前鮨の本質を世界に問う、その晴れ舞台にAMUAMIの八卦を付け台として採用していただいた。
付け台とは、職人と客の間に静かに存在するものだ。中澤さんが求めたのは、鮨の美しさを損なわず、空間の品格を底上げする本物。AMUAMIの八卦がその役を担えたことは、ものづくりの端くれとして、この上ない光栄だった。ただ、八卦を選ばれたことには少し驚きもあった。引き算を極めた方が、どこか歌舞いたこの器を選ぶ。既存の型を破った型破りが、があえて選んだ挑発には、別次元の強度がある。内装では銅板の飾り棚など、何ヶ所か手伝わせていただいたのだが、私たちがやってきた仕事の文脈で、これほどふさわしい舞台はなかった。
「イカはイカ、ウニはウニ」——素材そのものの力を引き出すのが江戸前の哲学だとおっしゃる。AMUAMIも同じことを思う。職人の技に余計な化粧はせず、その本質を引き出して世界に問うていきたい。
Design / Masao Nemoto : NOMURA Co.,Ltd.
Photo / Nacasa & Partners